*用途としての「しおり」の由来*
きょうさん[夾算]
せん[箋]

*言葉としての「しおり」の由来*
しをり[枝折・栞]

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現代の「しおり」

[注意]表記をわかりやすくかえて引用している部分もあります。また、ブラウザによっては正しく表示されない漢字もあるかもしれませんが、ご容赦下さい。m(_ _)m

きょうさん[夾算]の意味 〜「日本国語大辞典」より
巻物または書物の紙ばさみで、検出用や読みかけのしるしとして用いる道具。長さ約9センチ、幅約1.5センチの竹や木を薄くけずり、3分の2ほど裂いて、それ以上裂けないように糸やこよりなどで裂け目の基部を巻いてしばったもの。今のしおりにあたる。
 [用例]
清涼殿(せいりょうでん)の丑寅(うしとら・北東の意)のすみの「知ると申す人なきをば、やがてみな読みつづけて、けふさんせさせ給ふを」 〜枕草子
 「算」は正確には、竹かんむりに卞という漢字です。(「算」は現代表記)
 昔の単位(尺貫法)では長さ3寸、幅半寸。現代の一般的な文庫本しおりよりふたまわりは小さいクリップタイプです。
 貴族文化が盛んだった平安時代にはもう、しおりはあったんですね。まぁ、源氏物語なんて、しおりがなかったら読み切れませんしね、実際問題。

せん[箋]の意味 〜「日本国語大辞典」より
書籍の題名、または、年号などを記して、巻子本(かんすぼん・巻物の意)の軸や帙簀(ちす・お経等の本をまとめて包むおおいの意)のひもに結びつけたり、書籍中に、その上端を挿入したふだ。上端に穴をあけてひもを通したり、蝶つがいに作ったものもある。中国からの伝来で、木・竹・檀紙(だんし・厚手の和紙の一種)・色のある厚い紙などを用いた。
 [用例]
・手づから、わうらい(手紙のやりとりの意)月日書きて、せん立てて、御なし給へり 〜宇津保物語
・四教義をさづくるに、をさして、不審をなす 〜法然上人行状画図
(略)箋と云ふ物は、木を細く一尺ばかりに四角にして、もとを細くして先をときん(修験者のかぶりもの・12のひだが頂点に集まり、鉛筆状にとがったずきん)形に削るなり。則ち(すなわち)、紙札とよませたり。 〜随筆・安斎随筆
 「箋」は現代では「付箋紙」(ふせんし・商品名ポストイット)に使われている漢字です。付箋紙としおりは、遠い親戚だったんですねー。おそらく仏教伝来(西暦538年)と共に、お経と一緒に持ち込まれたのでしょう。
 辞典のイラストで見る限り、平積みされた本の手前の小口上部にとがった棒をすっぽり刺し込んで、年号や全集名を書いたふだを棒の端からたらしていた様です。
 日本のしおりはたいてい、上部に穴を空けてしおりひもをつけていますが、この「箋」の名残りではないのかなと私は思います。

しをり[枝折・栞]の意味 〜「日本国語大辞典」より
動詞「しおる(枝折)」の連用形の名詞化
1. 山道などで、目じるしのために木の枝を折って道しるべとすること。また、草を結び、紙を結びつけなどして、道しるべとすること。また、そのもの。道しるべ。道案内。
 [用例]
しをりして ゆく旅なれど かりそめの 命しらねば かへりしもせじ 〜大和物語
・吉野山 こぞ(昨日の意)のしほりの 道かへて まだ見ぬかたの 花(桜の意)を尋ねん(西行) 〜新古今和歌集
・尋ねきて 帰るさ迷ふ 深山路(みやまじ)は 花こそやがて しをりなりけれ(紀淑氏) 〜玉葉集
・手折りを知るべにして、奥も迷はじ咲き続く、木陰に並み居て、いざいざ花を眺めん 〜謡曲・鞍馬天狗
・蹤血(はかり・血のあとの意)を栞(シホリ)に、妖怪の徃方(おうかた・行く方向の意)を索(たづぬ)れば 〜読本・椿説弓張月
2.[栞] 書物の読みかけのところ、あるいはあとで読みかえしたいところなどにはさみこんで、しるしとするもの。紙、布、糸、または木、竹、皮、セルロイドなどの薄板を用いる。形はさまざまで、頭部にひもをつけることが多い。
 [用例]
 此具は本邦の制 大さ短冊に同じ。頭に錐し(すいし・穴を空けるの意)紅白の紐(ひも)を左糾(さきゅう・左巻きにより合わせるの意)にして付る。厚紙に絹をふくろに縫て入る。書を読かけて置時これを入る。 〜随筆・雅遊漫録
・帷子(かたびら・ひとえの着物の意)の 暁さむく よれあがり 本の枝折に 無造作な銭(旨原) 〜俳諧・延享廿歌仙
・どれ、読みさしへ仕折(シヲリ)して、夕飯(ゆうげ)の支度(したく)しませうか 〜歌舞伎・児雷也豪傑譚話
3.[栞] 不案内の人のためにわかりやすく説明した小冊子。案内書。手引書。「旅のしおり」「入学のしおり」など。 <以下、4.〜6.は略!>
 [語源説]
(1) シバヲリ(柴折)の略
   〜南嶺遺稿・安斎随筆・言元梯・和訓栞・国語溯原=大矢透「大言海」
(2) シルベオリの略か 〜和字正濫鈔
(3) 枝折の義 〜古今沿革考・異説まちまち・草廬漫筆
(4) シメヲリ(標折)の義 〜茅窓漫録・和訓栞
(5) シルシヲリ(験折)の義か 〜志不可起・和歌色葉
(6) 柴の先を折るところから、サキヲリの反 〜名語記
((2)について)紙折の義か 〜牛馬問
 ボーイスカウト・ガールスカウト等の野外活動で「道しるべ」をやった事のある人はうなずけると思いますが、木の枝や丈の長い草を折って「こちらへ進め」という「しるし」を作る「道しるべ」があります。(ただし現代は自然保護の観点から、実際には「枝を折る」以外の道しるべを用いていると思いますが)「枝折」もそんな感じだったのでしょう。
  <余談> 1.の[用例]中の西行の和歌は、名作。後世、この歌をふまえた、または
   影響された春の「しをり」の和歌が、いくつか詠まれています。

 現代と同じ意味の2.の「栞」は、江戸時代に入ってから定着した様です。当時の日本の識字率は世界的にみてもかなり高く、一般庶民でも貸本屋から本を借りて読んでましたから、必然的に栞もよく使われる様になったのでしょう。
 SIORIXのAYAKURAさんや私の様に、「しおり」の語源についてあれこれ考える奇特な(苦笑)人は江戸時代でも多いらしく(国学も盛んだったし)いろんな語源説が出ていますが、当時はどうやら(1)の「柴折」の略語説が有力だったようです。

 ちなみに、「栞」は「カン」と発音する形声漢字で、1.の意味。2.・3.の意味は、日本語独特の様です。


しおり[枝折(り)・栞]の意味 〜「岩波国語辞典」より
  1. 本の読みかけの所に、はさんで目印とするもの。3.の転。
  2. 手引き。初めての人などにわかりよく説明した本。入門書。3.の転。
  3. 奥山・荒野などで、通った道の目印に、木の枝などを折っておくこと。<古語>
  4. 「しおり戸」の略。
  5. 城郭。<古語>
 現代の様にコレクションの対象になるほどいろんな「しおり」が出てきたのは、明治・大正時代からでしょうか?もしかすると西洋からの輸入品の「しおり」の影響があったのかもしれません。文庫本しおりのサイズなんて絶対、インチ(1インチは約2.54センチ)が基本になってると思うし。(長さ5インチ=約13センチ、幅2インチ=約5センチ)
 文庫本しおりは当然、文庫本が出版される様になってからですが、岩波文庫が一番はじめと聞いた事があるので、もし作られても昭和に入ってからですね。(もしかすると、戦後?)

 

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